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| The latest research: 最新の研究 |
私の研究テーマ
以下の研究を総括するために,2011年4月より,研究プロジェクトを開始しました。
現在,Eiteman-Stonehill-Moffett,Multinational Business Finance,12 editionを,麗澤大学のファイナンス担当者で翻訳中です。2011年夏に出版予定です。
以下,2011年5月現在の清水が行っている研究プロジェクトです。今後の予定を含まれます。
Ⅰ.物価変動のダイナミクス
・住宅家賃の粘着性:2007-
金融政策において,消費者物価指数は極めて重要な経済統計に位置付けられている。しかし,金融政策は,常に政策発動にラグがあることが指摘されてきた。その理由の一つとして,例えば,資産価格バブルの発生時期には金利の引き上げが遅れ,バブル崩壊後の景気後退期においては金利の引き下げが遅れたことで経済的な混乱を助長させたことが指摘されてきた。しかし,政策当局によれば,その時期において消費者物価指数はきわめて安定的であったため,政策変更の理由はなかったとも言われる。つまり,市場で発生している問題と政策当局で認識可能な状況とに,ギャップが存在していたのである。ここで,消費者物価指数に着目すれば,その四分の一を占めているのが住宅サービスに対する支出である。本研究は,消費者物価指数の持つ安定性,または粘着性の原因の一つを住宅サービスに対する支出,つまり家賃の粘着性であるという仮説のもとで研究を進めた。分析の結果,わが国の住宅家賃は極めて粘着的であり,試行的に計算した修正消費者物価指数によれば,政策発動のラグは発生しなかった可能性が指摘された。
・不動産価格指数の推定法:1995-
住宅家賃が粘着的であるとすれば,資産価格である住宅価格の変動をマクロ経済政策のターゲットにしていこうとすることは,自然な流れである。しかし,その指数の推計方法においては,多くの研究蓄積があるものの,国際的に標準化された手法が確立されているわけではない。その背景には,住宅価格指数を推計するためのもとになる住宅価格情報の整備状況に大きく依存している。そうであれば,それぞれの推計方法が持つ性質を知っておくことは,きわめて意義が大きい。また,わが国の不動産市場の特性に応じて,指数の推計方法を確立していくことも急務である。本研究は,このような問題意識に基づき,複数の研究を実施してきた。
a) 市場構造の変化に配慮したヘドニック型不動産価格指数の推計:1995-2000
b) 市場構造の変化と季節的なサンプルセレクションバイアスに配慮したヘドニック型住宅価格指数の推計: 1998-2007
c) 築年効果に配慮したリピートセールス価格指数の推計1:Box-Cox推計: 2007-2009
d) 築年効果に配慮したリピートセールス価格指数の推計2:ハイブリッド法 : 2009-
e) 空間相関に配慮したリピートセールス価格指数の推計: 2008-
*d)以降においては,リピートセールスサンプルが有する価格のラグ構造に注目している。
・住宅価格のダイナミクス:2008-
なぜ,住宅バブルは繰り返し発生するのか。その背後にあるメカニズムはどのようなものか。バブル崩壊後,日本の住宅価格はなぜ持続的に時間をかけて下落していったのか。このような問題意識のもと,下記の研究を実施している。
a) 住宅供給制約が住宅価格の変動に与える影響
b) 住宅需要が住宅価格変動に与える影響
c) 住宅流通量が住宅価格変動に与える影響
(都市住宅学会2009年度秋季大会報告予定)
・家計の多様性に配慮したリアルタイム物価指数の推計:2010-
準備中
Ⅱ.家計と企業の多様性を考慮した土地利用選択に関する研究
・ヘドニックモデルの改善と応用:2008-
非市場財の経済的価値の測定において,ヘドニックモデルを適用しようとする試みは,多くの政策において適用されてきている。そのような中で,ヘドニックモデル万能論のような議論を耳にすることもある。また,十分に吟味されることなく,計算結果を利用している例も少なくない。この研究における関心は,二つである。第一に,データの発生プロセスに関する問題である。たまたま市場で入手できたデータだけを用いて,政策効果が測定できたとしても,そのデータにバイアスはないのかといった問題である。第二に,内生性バイアスの問題である。この問題は,過少定式化バイアスの問題でもある。ヘドニック関数の推定においては,観察不可能な変数が存在することで,推計値にバイアスをもたらすことは広く知られている。また,単純なダミー変数で処理されるケースも多い。このような問題をどのように改善していくことができるのかを,空間情報解析の応用としての変数作成の問題と,空間計量モデルの応用といった二つの視点から分析していきたい。
・収益格差が土地利用選択に及ぼす影響1: 2005-2009
バブル崩壊後,東京のオフィス市場で何が起こったのか。本研究は,このような単純な問題意識のもと,1991年以降のオフィス市場の変化に着目し,住宅対比でどの程度の非効率性が市場に存在しているのかといったことを測定した。バブル崩壊局面で,日本のオフィス市場でどのような問題が発生し,どのような市場調整が行われたのかといったことを明らかにすることを目的とした。
・収益格差が土地利用選択に及ぼす影響2: 2009-
都市における土地利用選択においては,市場が完全であれば,ここの主体がそれぞれの土地利用から得られる収益を最大化するように選択が行われるものと考えられる。しかし,実際の都市内部においては,土地利用規制や建て替え費用が存在し,そして情報非効率性が存在するため,必ずしも効率的な土地利用が選択されているわけではない。本研究は,東京都心五区を対象として,マイクロデータを用いて土地利用選択の非効率性の程度を測定することを目的とする。
・家計の多様性に配慮した住宅立地行動に関する研究:2009-
研究を開始しました!
・企業の多様性に配慮したオフィス立地行動の研究:2009-
研究を開始しました!
Ⅲ.不動産投資市場のダイナミクス: 1997-
・キャップレートの構造推定1:2008-
不動産投資のリターンは,小野・清水(1997)で示されたように,地域的な特性と併せて過去の投資行動にも依存する。本研究は,アジアの不動産投資市場を対象として,投資リターンを構成する要素の相違を比較研究することを目的としている。
・キャップレートの構造推定2:2008-2009
キャップレートは,マイクロレベルではどのように決定されているのであろうか。地域によって,築年の経過によって,立地によってどの程度の格差が存在するのか。本研究では,J-REITの公開データを用いて,探索的な実証分析を行うことを目的とした。
(日本不動産学会2009年度秋季大会報告)
・鑑定評価誤差に関する研究:1997-2002, 2008-
不動産投資に際し,とりわけわが国においては,不動産鑑定評価の役割は極めて大きい。しかしながら,内外を問わず不動産鑑定評価には一定のバイアスが存在していることが知られている。西村・清水(2002), Shimizu and Nishimura(2006)においては,その問題をValuation ErrorとSmoothing問題に求めて,実証的に明らかにした。しかしながら,不動産証券化市場の発達は,この問題を鑑定評価の問題だけでなく金融市場への問題へと発展させてしまった。その背景には,どのような構造が存在しているのか。たとえば,先行研究に注目すれば,鑑定士に対してクライアントの影響がどの程度作用を及ぼしているのかといったことが研究されている。日本においては,パワーバランス問題として指摘されている。もし,このような問題があれば,不動産投資の持続的な成長を実現するための大きな隘路となりかねない。本研究は,不動産投資市場におけるValuation ErrorとSmoothing問題を改めて明らかにすることで,どのような制度設計が必要となるのかを検討しようとするものである。
(麗澤経済研究2010年春号に掲載予定)
・複数用途を加味した不動産投資ダイナミクスモデルの開発:2007-
不動産投資に対して一定の資金の流入を前提とした場合,単なる絶対収益率に基づく投資行動ではなく,相対的な優位性(経済学でいう比較優位)によって投資決定が行われることが予想される。本研究では,不動産投資のダイナミクスを多用途間での資金分配の視点を加味してモデル化することを目指している。
Ⅳ.地方自治体の財政行動に関する研究
・都市インフラの耐久性とライフサイクルコストの計測:1992-1994, 2008-
この研究は,私の修士論文のテーマであり,ライフワークの一つである。都市インフラは,経済学的には耐久性を有する地域的な公共財,またはクラブ財としての性質を有する。その最適供給条件を経済理論的に整理した場合,純粋公共財のサミュエルソン条件や地域的公共財としてのティブー条件とは異なる条件が導出される。修士論文では,理論条件の整理で終わり,実証分析まで到達することはできなかった。その後,実証分析としての都市基盤の整備効果を測定するためのヘドニックアプローチ等の研究に移っていった。ここで,再度,この問題に取り組みたい。
多くの先進主要国において,景気後退局面における財政効果の測定は,きわめて重要な問題になってきている。いわゆるケインジアン効果の測定である。しかしながら,そのケインジアン効果は近年においてきわめて小さくなってきていることが報告されている。とりわけ,公共投資の効果は,生産性に反映される投資と生活の質に反映される投資に大別されるが,加えて,新規投資とともに一旦整備された都市基盤の老朽化に対応した「維持管理」投資にも大別される。本研究は,とりわけ後者に注目する。本年度において,1975年以降の市町村レベルでの投資的経費と公共施設統計の整備が完了した。このデータを用いて,再度,理論モデルを構築し,実証研究を開始したい。
・介護保険制度の地域負担構造:2005-2009
高齢社会が本格化する中で,介護問題は社会問題化してきている。そのような中で,介護保険制度が発足したものの,多くの問題が指摘されている。とりわけ,介護保険制度における基礎的自治体の役割が高まる中で,地域的な財源の偏在問題は,同制度の持続性危うくしている。本研究は,2005年の清水ゼミ発足時から取り組んできた研究蓄積の成果を取りまとめたものである。
(日本計画行政学会2009年度秋季大会報告)
Ⅴ.企業不動産戦略の経済理論的アプローチ:「企業のライフコース」からみた産業クラスターの形成要因/企業間ネットワークの構築とオフィス移転を手掛かりにして
本研究の目的は,大きく二つに分類される。第一は,産業クラスターの形成要因を「企業のライフコース」から明らかにすることである。産業クラスターの形成要因に関する研究は,マイケル・ポーターのダイアモンドモデルをはじめ,多数の研究蓄積が存在する。なかでも,企業間の接触行動が,産業クラスターの形成に強く寄与しているという指摘があり,B
to B contactなどで高度な意思決定を行う場合や,複雑かつ非定型な業務については,電子メールやインターネット等の新しい情報技術(ICT: Information
Communication Technology)が広く普及してもなお,対面接触(Face-to-Face contact)が重要な意味を持つという。つまり,ある特定の地域に,ある特定の業種業態が集積する産業クラスターには,取引企業間の空間的な近接性が極めて重要であり,この近接性から構築される企業間ネットワークが,イノベーションを喚起する原動力になると考えられている。このようなことは,都市経済学では,企業立地のモデルとしても発展してきている。
確かに産業クラスターの形成と企業間の接触行動には,強い関連性があるということは,既存研究から明らかであるが,産業クラスターの形成要因については,依然として不明な点が多い。特に,産業クラスターを形成している個々の企業が,いつ,どこから,どのようにして,ある一定の地域に集積するのか。また,どの程度の地理的な範囲内・頻度で,企業間接触が行われて企業間ネットワークの紐帯をより強固にしていくのかといった,企業のライフコース(起業から現在に至るまでの,企業の成長(あるいは衰退)過程)とオフィス移転,企業間ネットワークとの関係から検討した研究は,管見の限り見られない。
以上のように,動的な視点から分析することによって,産業クラスターの形成過程を詳細にトレースすることが可能となり,どのような業種業態が,どの地域に産業クラスターを形成していくのか,ある一定の予測が可能となる。ここでの特色は,企業内での事業所ネットワークと,他の企業とのネットワークとの複合的な効果を見ることである。また,ある特定の企業にとっては,企業の事業所をどのように配置するのかによって,その生産性に対して大きな格差が発生することが予想される。また,当該不動産を所有するのか,賃借するのかによっても,企業価値に対して甚大な影響を及ぼす。その意味で,企業の立地戦略と不動産戦略は極めて密接な関係を持つことから,近年においては,企業不動産戦略(CRE:
Corporate Real Estate )として注目されてきている。
なかでも,企業が保有する不動産の価値の変動は,企業の価値に対しても影響をもたらす。企業の価値とは,マクロ経済的には,株式市場が評価する企業の株価総額に対して,債務総額を足し合わせることで,計算される。これは,企業が解散することで所有者がすべて入れ替わるとしたときに,そのときの株主と債権者が受け取ることのできる金額の合計をあらわすものと考えられる。一方,資本の再取得価格とは,現存する資本をすべて買い換えるために必要となる費用の総額のことをいう。その中で,土地・建物といった不動産は,企業の価値の中で大きな比率を占めるにもかかわらず,会計制度上の制約により,取得原価(簿価)としてのみ,公開されてきた。そこで,本研究では,事業所及び「主要な不動産」の配置と概要,および「地価税納税額」を捕捉することで,その企業が保有する不動産の時価を計測することで,真の企業の市場価値の変動をも計測することを目的とする。先行研究においては,多くが集計データを用いた研究であったのに対して,個別企業の財務データから分析することは,清水(1997)を除き,いまだ実施されていないものと予想する。これが,本研究の第二の目的である。このことは,マクロ経済学でいわれるトービンのq
(Tobin's q theory)を計算することを意味する。
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